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調査事例(損害保険調査)

損害保険調査の調査実録を公開

事故の経緯

今から約7年前の夏、私は後輩の新人スタッフと共にA県のB市へ足を運びました。
依頼者はとある保険会社の課長である田中様(仮称、以後田中課長とします)でした。
この調査は、交通事故で右手に後遺障害が残り、その後遺症害が元で事故前に従事していた会社での業務が遂行できなくなり、現在は1ヵ月に1度検査の為病院に通院する傍ら、自宅療養する40代男性(以下、調査対象者といいます)を調査すると言うものでした。
田中課長曰く『調査対象者の主張する後遺障害(医師の診断による)にどうやら疑いがある。
現在の障害の度合いを行動調査で明らかにして欲しい』と言うものでした・・・

…事故のいきさつはこうです。
調査を開始する一年前頃、調査対象者はセダンタイプの乗用車に乗り、とある国道を走行していました。
調査対象者が信号交差点に差しかかった時、対向車線から右折してきた軽自動車が調査対象者の乗用車の右フロントフェンダーに衝突したのです。
調査対象者の乗用車はその衝撃で交差点脇の信号柱に側面から激突しました。
車両は大破、調査対象者は一命をとりとめたものの、右手に麻痺が残り手指が自由に動かせない等の10級の後遺障害と認定されました。
これはよくある交差点での右直事故で、事故当時調査対象者の右前方には大型のトラックが走行しており、そのトラックが事故現場である交差点を右折しようと停車した所、そのトラックに視界を遮られたのか、軽自動車が直進車である調査対象者の乗用車に気づかずに(確認不足)右折してしまったのです。
この場合、事故の過失の大半は右折した軽自動車側にあります。事故後の警察や双方の保険会社によって、過失割合も80対20(同交差点の信号は共に青信号でした)と調査対象者にはほとんど非は認められなかったのです。
この右折してきた軽自動車側が加入する保険会社こそが田中課長が在籍する保険会社だったのでした。
当初は田中課長も医師の診断が妥当と判断し、保険会社は調査対象者に対し認定された後遺障害の等級から決定した保険金(入院費、通院費、及び逸失利益、休業損害等)を支払ってきました。

疑わしき調査対象者

しかし、事故から半年経った頃、田中課長の耳にある噂が届きました。
※この調査は事故後約1年が経過してからのご依頼でした。
医師から調査対象者への精密検査の結果として、調査対象者が主張するような症状の起因となる結果は得られていないが、調査対象者は「未だに手の痺れがとれず、小銭も掴めないほどだ。」と話しているという噂です。
「もしかして・・・」と思った田中課長でしたが、調査対象者はあくまでも怪我をさせられた被害者であり、証拠もなしに疑う訳にもいきません。
勿論、課長も何もせずにいた訳ではありません。
保険会社も調査部門を当然有しておりますし、調査対象者の担当医へのヒアリングも定期的にやっておられました。
しかし一向に確証が得られない為、調査のプロである私共に調査依頼をされたのです。

調査を開始するにあたって、ひとつ問題が発生しました。
私達が調査に着手する前に田中課長から調査対象者に関する事前情報を頂いていたのですが、その資料の中で調査対象者の住所として記載されている場所に現在も調査対象者が居住しているかわからないといわれるのです。
また、行動調査の場合、私共は依頼者の方々から顔写真を用意して頂くようにしているのですが、依頼者である保険会社は調査対象者の写真をお持ちではありませんでした。
しかし、それは至極当然の事であり、被保険者(この場合は先述のワゴンタイプ側)の写真を免許証のコピー等で所有している事はあっても、怪我をさせた相手(つまり調査対象者)の写真を保険会社が所有している事はまず無く、改めて入手するという事も極めて困難でありました。

以上の状況を踏まえ、私共はまず、資料の中で調査対象者の住所とされている場所へ向かう事としました。
調査対象者の住所地とされるB市自体は人口40万人ほどの都市ですが、調査対象者の自宅と思しき一軒家周辺はB市のベッドタウンにあたる田園風景が広がる地区に位置しており、大きな建築物等もなく、見通しが良すぎる為、とても張り込みが難しい場所でした。
しかし、どのような状況であっても、私たちはプロである以上、調査を完璧に遂行しなくてはなりません。
その後入念な下見調査の結果、小高い丘ともいえる山の木々の中に監視ポイントを設定し、そこから調査対象者の自宅を監視することに決定しました。 そして、うだるような猛暑の中、一日中その一軒家を監視しましたが、結局その家から調査対象者らしき40代男性は全く現れず、その家へ出入したのはどう見ても60代後半から70代前半の老夫婦だけでした。
調査対象者には30代後半の妻がいるのですが、その妻と思しき女性も同宅より現れませんでした。

自宅療養中であるはずの調査対象者が自宅から現れないという事は充分にありえますが、その介護をしているはずの妻までが同宅に全く出入していないのは不自然である、と判断した私達はもう一度田中課長に調査対象者に関する追加情報を要請しつつ、翌朝より同宅周辺での聞き込みを行って調査対象者の現況を探る事にしました。

調査着手へ

意外と住民の仲が密接したコミュニティであった事が幸いしてか、周辺での聞込みの結果、調査対象者とその妻はB市中心部の公営住宅に引っ越しており、現在この家には調査対象者の両親しか住んでいない事が判明しました。
それと合わせて調査対象者の現住所も判明した為、すぐにその公営住宅へ向かう事としました。

その住所地へ行ってみると調査対象者が住んでいるという公営住宅はすぐに分かりました。
市内中心部とはいえ、幹線道路から1本内側に入った住宅街の一角に位置しており、表札等は掲げられていないものの、調査対象者自宅と思しきZ階X号室のポストからは調査対象者宛ての大型郵便物がはみ出した状態で投函されたままだったので、すぐにこのX号室が調査対象者の現住居である事が判明したのです。

私達はすぐに田中課長へこの旨を報告し、この公営住宅周辺での監視を開始しました。
とはいえ先述のように顔写真がなく、まだ調査対象者の容姿が確認できていない為、X号室へ出入する人物の容姿を全て確認する必要がありました。
昔から団地でよく見かける階段室型構造の公営住宅を張り込む事はとても困難なのです。
※階段室構造とは屈折階段の両側に住戸が向かい合っている構造を指します。
この構造の階段室は踊場も狭い為、とてもそこに人目につかずとどまっている事は不可能です。
更に、この公営住宅周辺は民家が密集している為、通常の張込みをするのは非常に難しい状況でした。
しかし、何が何でもまずは調査対象者の顔を押さえなければならない為、懸命に張込みポイントを探しました。
そこで、先述の幹線道路沿いにある有料の自走式立体駐車場がふと目に止まりました。
すぐに調査対象者自室であるX号室が望める同駐車場のY階へ上がったところ、そこはX号室を監視するのに絶好の位置だったのです。

 

ここまでの作業で既に正午を過ぎていましたが、私はスタッフを公営住宅周辺に待機させてこの駐車場から張込みを開始しました。
しかし、この日は調査対象者の妻と思しき30代後半の女性が出入しただけでX号室から調査対象者が現れることはありませんでした。

張込み開始

 

調査3日目にあたる翌朝、再び張り込みを開始しましたが、朝9時頃に調査対象者の妻と思しき女性が外出してから夕方の6時に帰宅するまで、X号室への人の出入は皆無であり、調査対象者と思しき人物の姿も確認されませんでした。
日中、妻とみられる女性の外出中にスタッフがX号室の電気メーターが勢い良く回転している事を確認している為、室内に誰かがいる事は確かです。
しかし、調査4日目、5日目も同様の状況であった為、調査対象者が夜間行動しているのではと判断し、5日目は課長の承諾を得た上で調査時間を延長して張込みを続けましたが、日付が変わる午前0時を過ぎても調査対象者はX号室から現れません。
そして徐々に私達に焦りが出てきたのです。

というのも、いくら調査を誠実にやらせて頂いても、依頼者様の望む証拠が得られなければ依頼者様は調査料金だけを支払う事になる為、私たちの調査に失敗がなかったとはいえ、依頼者様にとっては表面上は納得されていたとしてもその心中は察するに余りあります。
この調査は契約時に一週間の調査期間を設定していたので、残る調査日数は2日間しかありません。
このような事態に陥る可能性については契約時に課長へ説明し、納得して頂いた上で契約を交わしたのですが、このまま調査対象者の姿すら確認する事なく調査期間が満了してしまう事は私たちにとっても忍びありません。
依頼者様に満足していただける仕事ができるよう、私は半ば祈りながら調査6日目を迎えました。
この日も調査対象者の妻と思しき女性が朝9時に出たきり、誰もX号室に出入する事無く午後4時になろうとしていました。

張り込みの位置は絶好であっても、やはり毎日同じ光景を見る事の辛さには語り尽くせぬものがあり、調査員達の疲労や集中力の持続に限界が近づいた頃、ようやく調査対象者が現れたのです。
パジャマ姿でX号室から現れた調査対象者は1階に降りて集合ポストの郵便物を確認すると、ポスト前に駐輪されていた自転車のハンドルを左手で握ると、重い症状を申告している問題の右手で障害があるようには見えないほどごく自然な動作でサドルを握りました。
そしてその自転車を少し壁側へ移動させるとZ号室へと階段を上がって帰宅しました。
現れた調査対象者は、やはり殆ど外出していないのでしょう、髪は乱れ、顔中に無精髭が伸びていました。
わずか短時間の出来事とはいえ、調査6日目にして漸く調査対象者の姿を捉え、しかも障害が認定されており、不自由なはずの右手を問題無く使用している様子をビデオカメラの映像に収める事にも成功しました。
この日、これ以上の動きはありませんでしたがすぐに課長へ報告し、あとは調査7日目の最終日に調査対象者が何らかのアクションを起こしてくれる事を期待するだけとなりました。

証拠取得へ

ついに運命の調査最終日を迎えました。やはり6日目に撮影された一瞬の映像だけではあまりに証拠能力が弱い為、私達は再び調査対象者が外出してくれる事を祈りながら張り込んでいました。
※この案件は調査成功後に間違いなく裁判となる為、第三者が見ても調査対象者の申告が虚偽であると判断できる映像が必要なのです。
午後1時を過ぎたころでした。
ジャージ姿の調査対象者がX号室より現れ、1階まで降りると昨日移動させていた自転車に自ら跨り、自然な動作で両手でハンドルを握ると危なげなく走り出したのです。

もはや調査対象者が嘘の申告をしている事は決定的でした。
これ以上ないほどの証拠映像を十分に撮影したのです。

その後調査対象者は自転車で幹線道路沿いのタバコ屋へ向かうと自販機の前に立ち、ズボンのポケットから取り出した小銭入れを左手で持ち、その中の小銭を右手で器用に(あえてこういう表現にさせて頂きます)摘むと、左手に持ち帰ることもなく、そのまま右手でコイン投入口へ差し入れたのです。 いくら調査対象者の症状に疑念を抱いて調査にあたっていたとはいえ、私達は暫く開いた口が塞がりませんでした。

その後調査対象者はタバコを購入すると極々自然な動作で自転車に乗って家路へとつきました。
時間的には僅か5分という短いものでしたが、調査対象者の申告する後遺障害に疑いがある事を明確にする証拠映像を撮影するには充分な時間でした。
この事実を田中課長にすぐ報告し、その後保険会社に赴いて証拠映像を見て頂きました。
田中課長は「やっぱり・・・」と漏らしながらも驚いた様子でしたが、調査の成功を喜んで頂けました。
調査対象者は事故当時は確かに右手に痺れがでていたのかもしれません。
しかし、いつからかその痺れもとれて快方にむかっていたのでしょう。
田中課長ら保険会社側としては今後この映像を基に調査対象者に対して給付金返還を求める訴訟を起こす事になるでしょう。

保険会社としては調査対象者に対して1年間にわたって給付金を払ってきたのですから、調査対象者の申告に虚偽があるとすればかなりの損害を被った事になります。
また、この結果を受け、今後は調査対象者に対して(恐らく)保険給付金を支払う必要もなくなることでしょう。
これまでのように調査対象者の症状に疑念を持たず給付を続けていれば、調査対象者の言うまま、直るあてのない症状に対して莫大な金額を支払う事になっていたでしょう。

実は、交通事故被害にあった後、後遺障害が残って保険金を給付されていた人が、働く事無く生活費(保険金)を得る事ができる生活に慣れてしまうのか、怪我が完全に治っても給付金を受け取りつづけて、被害者だったはずの人物が逆に保険金詐欺の加害者になってしまう事は少なくないのです。
人間は弱い生き物なので、一度そういった生活に慣れてしまうとまた自分の力で働いて生きようという気持ちになるのには努力が必要なのでしょう。
しかし、これらの人々が行っている事は紛れもなく不正行為です。本人も知らず知らずのうちに泥沼にはまり、自分では抜け出す事が出来ないでいるのかもしれません。

私達は依頼者様のお手伝いをさせて頂くと同時に、そういったある意味弱ってしまった人たちも救っているのだと思いたいものです。
偽善かもしれませんが、そうとでも思わないとせつない気分になってしまいます。

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